【感想】仮面ライダージオウ 第2話「ベストマッチ2017」

詰め込みながらも結構ワクワクする作りで期待させてくれた第1話に引き続きのビルド編。今回は「物語がどういったルールで進行していくのか」を提示してくれた回だった。

 

2017年で生まれたアナザービルドが「本物の仮面ライダービルド」に取って代わり、ビルド/戦兎とクローズ/龍我は力を失う。

アナザーライダーは現代で何度倒しても復活する。完全に消滅させるには同じライダーの力を使って、同じ時代で倒すしか方法はない。それが可能なのは歴史を受け継ぎ時を支配するジオウのみ。そして倒したところで改変された歴史は変わらない。

 

TTFCの「ジオウ補完計画」によれば「同じライダーの力は同じ時間に共存できない」「アナザーライダーは同じライダーの力でしか倒せない」が明確なルールとのこと。つまりは

ということになる。

今回のビルドの一件も、アナザーライダーが誕生した瞬間から「力・存在の優先権」とでもいうべきものが変わった歴史・時間(アナザー)に向けて流れ始めたために戦兎たちが変身不能になり、『ジオウ』はそのアナザーの歴史からライダーの力を回収、結果『ジオウ』の歴史では分岐後の別物と化した『ビルド』が組み込まれた、というところか。

変わってしまった後の歴史を組み込んでしまったなら「元よりそんなことはなかった歴史」として前後が確定したのだから、確かに戦兎たちは元のライダーには戻らないだろう。そしてジオウたちがライドウォッチを所持している限り「共存できない」ルールによって力が戻ることもない。

「本物は仮面ライダー達なのに、どうしてアナザーやライドウォッチの方が優先されるの?」に関しては劇中のゲイツの言葉を借りて「歴史はオーマジオウに向かって流れている(=時間の中でジオウ関連に働く力の方が優先度が高い)」、メタ的に言えば「最強・優先されるのは現行ライダーとその設定」ということなのだろう。

 

王が接触し干渉した"間違った歴史"こそが正史となり、それぞれのライダー達が歩んできた正史が異なる歴史として消えていく。存在の証はライドウォッチという力と、王の記憶の中にしか残されない。

全てのライダーの辿った歴史が失われつつ、力だけがジオウに向かって集まっていくことを指して「ジオウの力は史上最強」と言ったのなら何も間違ってはいない。なぜなら過去の歴史に仮面ライダーはジオウ以外おらず、なのに他のライダーの力が扱えるというとんでもなく矛盾した存在になるからだ。

しかし同時に、ジオウは本来のライダーたちが歩むはずだった過酷な歴史をも結果的に奪ったために18年分の重責をたった一人で背負っていかなければならない、という負けず劣らず過酷な運命が待ち構えている。

この運命を乗り越えられる強さがあるのなら、史上最強の「孤高の時の王」として君臨するのも夢物語とは言い切れない。

 

このように、ジオウの物語はレジェンドライダーと絡み合ったストーリーでありつつ、その本筋はあくまで彼らの歴史と力を受け継いだソウゴが王になることを描くタイムトラベルSF、と捉えていいだろう。1話の感想でも記した通りに『「過去作の踏襲はしつつ、しっかりジオウの物語を紡いでいく」というスタンス』で展開されると見て間違いなさそうだ。

 

そんなジオウの物語の次のレジェンドは『エグゼイド』より宝生永夢ゥ!

※補足すると、永夢は2018年3月に研修が終わっているため、次回の時間を放送時期と合わせて9月中~下旬とするなら正式に小児科医として活動している頃なので飛彩の「小児科医に何の用だ」という台詞と一致する。

 

王様になるから受験はしない少年と、ドクターになるために猛勉強した男の出会いが恐ろしいという話に爆笑しつつ、しかし「自分が歩む未来は自分で選ぶしかない。自分で動かさない時間は動かない」というソウゴと「人が生きるということは運命を変えていく力」という信念の永夢は実のところ結構相性が良さそうな気がする。共に決められた運命に抗う者同士だし。

 

パイロット版も終わり、基本的なルールが提示され、『ジオウ』はここからいよいよ本格的に始まる。ジオウが辿るのは覇道か、王道か?