【ケムリクサ】りりの絶望は「必要」なことだったのか【考察】

初めに、自分はケムリクサを毎話リアルタイムで追っていた人間ではない。11話が話題になったので最終回直前に全話一気見した程度である。したがってこれまでの内容についてどんな考察が視聴者間で交わされていたのかは一切知らない。そういう人間が行った考察だとご了承いただきたい。

 

さて、今回テーマにしているのは12話で描かれたりりの最期の描写その他諸々である。

前話ラストで「ワカバを助けるには自分が大人になればいい」と考えたりりは、ケムリクサに関する天才的な発想を以て自分の記憶をケムリクサに分割し、新しい自分でワカバを救うという決断をする。ダイダイのメモに後事を託す旨と「私の目的はワカバを助けること」と書き残し、今に繋がっていく。ここまでは良い。

だが12話ではさらにその後が描かれた。記憶の分割に成功したりりはワカバが今どこにいるかを探した結果、彼の死を見てしまう。既に目的が失われていたことを知ったりりは、これから生まれる新しい自分を自由にするためワカバの遺言を遺して消滅した。これがメモの一部が塗り潰されていた理由だった。

これに「ただでさえ救いのない過去の話で、さらにりりを絶望させたまま終わらせる必要はあったのか。メモの辻褄が合わなくなるが、何も知らずに消滅を迎えるのではダメだったのか」という意見が出るのは当然だろう。もう終わった過去なので取り返すことはできず、ただ苦みが残るだけなのだから。

 

この描写について自分なりの考察を重ねた結論を先に述べると「ああなるのは避けられない以上必要だった。何故ならあの二人には相談と情報の共有が無かったから」である。

結果から生じた疑問を探るには原因まで遡る必要がある。そこで11話の描写を思い出してみると、ワカバとりりは善意からのすれ違いを重ねてしまったことが分かった。

 

りりはワカバと一緒にいたくて彼のお仕事に関わるケムリクサを止める赤いケムリクサを作り出してしまう。でもそのことについて相談は無し。前段階の「仕事は程々で無理しないで」は言ってみたもののワカバの方に聞き入れる気が無い。すでにすれ違いが生じている。

その後赤い木を止めるためにワカバは自分を苗床にミドリを育てることを決意する。この決断には恐らく地球で死んでいたりりがワカバの船で蘇ったことが影響していると考えている。レアケースだがケムリクサを介してなら生き返れるというモデルがそばにいたからこその決断。別れの前に告げた「また会えるから」は「死んでしまうけどケムリクサで蘇るから」という意味だったのではないか。そしてりりはケムリクサを扱うことに関しては天才的な閃きを見せるので、こう伝えることで「りりなら意図を汲んで待っていてくれる」と考えたのかもしれない。

しかしワカバを前にしたりりは見た目相応の幼い少女でしかないし、今の彼女にとって大事なのはワカバしかいない。その彼のために行ったことが彼に多大な迷惑をかけ、それが原因で引き離され、挙句死んでしまった、などと突き付けられて独りの少女が耐えられるわけがない。つまり「りりは大人ではない」、その認識がワカバには無かった。とても全てを伝えている時間など無さそうな状況とは言え、これもまた才能を知るがゆえのすれ違いである。

 

「一緒にいてほしい」と「これから先、自分が何をしてどういう結果を目指しているのか」の相談と共有ができなかったためにワカバとりりはああいう結末を迎えてしまった、と自分は考えた。式を間違った以上どうあがいても正解は導き出せないのだ、不正解を突き付けられ打ちひしがれるのは残念ながら当然のことである。

(というかケムリクサは「情報共有を怠った者が死ぬ」の法則があるように見受けられる。りくはケムリクサの使い方を姉妹にレクチャーしなかったし、りょくも文字の使い方を教えなかった。りょうはイマイチ不明。強いて言うなら効率のいい戦い方? 欠けている者同士、支え合わなければ倒れてしまうのは道理)

 

ではその後の二人であるわかばと姉妹たちはどうだったのか、というと彼女たちはちゃんと相談をしている。1島を出るか留まるか、元凶の赤い木を断つか否か、壁を超えるためにミドリちゃん使うか否か、など重要な時には必ず主人公のりんを交えて(というか意思決定の役割を任されて)相談が行われている。

唯一そうでなかったのが決戦に臨む前のりつとりなの断水だが、この頃には姉妹同士とわかばの間で信頼と絆が確かに育まれていたし、水切れ=葉の寿命=死期が近いという情報共有は済んでいるので、今度は「命がけで事を成そうとしている」のが伝わっている。ワカバ→りりで伝わらなかったことが姉妹たち(りり)→わかば(ワカバ)で逆転しているのが面白い。

 もう一方の「一緒にいてほしい」もわかばが一人も欠けることなく進める作戦を提示したり、姉妹たちが互いを気遣い合うことで「失いたくない」という形で旅の中での共通認識として培われていく。そしてわかばが役割を終えた虫たちの死を通して「誰一人死んでほしくない」とハッキリ口に出して言えた時点でこれもまた全員に伝わった。これもまたわかば(ワカバ)→姉妹たち(りり)で逆転している。極めつけがりんの最後の台詞で、あれ以上に「一緒にいてほしい」を伝える言葉は恐らくないだろう。

 

ただ姉妹たちとわかばがこうやって絶望的な中で互いを繋いで希望を見出せたのは、あれだけ「詰んだ」状況の中で希望を繋ごうとしたワカバの決断あってのことだ。ワカバを助けようとりりが頭をひねったからだ。

もう戻らない二人に救いはないが、その後の彼らの救いにはなってくれた土に還って大地を豊かにし緑を育むために必要な「死」だった

姉妹たちわかばが主役の物語である以上、そこへ至るまでの物語は彼らの土台である。その土台、大地を豊かにするために失敗がある以上、避けてはいけない絶望だった。むしろそれを描かない方が不誠実ですらあると自分は考える。

 

とはいえ、様々な考察の中でりりが戻ってこれる可能性も挙げられている。自分が言うまでもないだろうが、どんな可能性も好きに考えて大事にしてほしい

【感想】仮面ライダージオウ 第3・4話「ドクターゲーマー2018」「ノーコンティニュー2016」

次なるレジェンドとの出会いは宝生永夢/仮面ライダーエグゼイド。

1・2話で詰め込みながらもとりあえず一通り地固めはこなしたので、今回からは割と余裕のある話運びだったという印象だ。

(『ビルド』終盤の新世界創造と『ジオウ』その他平成二期の世界がどうなったのかで混乱していた人も多いようで、個人的には特にこんがらがってはいなかったが、それでもやはり理解のしやすさはこの2話の方が格段に上だった)

 

 さてエグゼイド編では「誰もクリアできないゲーム」をプレイしてソウゴの友人が意識不明に陥り、その問題を解決するために伝説の"天才ゲーマーM"を探し出す…という流れで進行したのだが、この導入のスムーズさが良い。

歴史を知っていれば「あーなるほど、それであのライダーと接触するのか!」とすんなり気持ちよくなれる。過去のアレから今のコレへ続いている、という地続き感こそ時間モノの醍醐味である。

Mを発見する切っ掛けにウォズを持ってきたのも上手い。医者が天才ゲーマーという発想に普通至れる人間はいないが、彼のみ未来=答えを知っているためこれまたスムーズな話の進行に一役買っていた。

懐かしの聖都大学附属病院で出会う飛彩先生やナースの台詞から"あの"永夢が無断欠勤しているということで異常事態をさりげなく告げながら、彼の残したヒントが「ドイツ語で書かれたコマンド」という妙なズレ加減が可笑しい。多くのドクターを引き連れて歩く飛彩と言い、歴史改変ならぬP&脚本家の違いの影響がどの辺りに出ているのか見られるのも面白いところである。

そしてゲームエリアに進入しアナザーエグゼイドとの戦い、更に乱入する永夢。

「悪いけど、これ以上はやらせない……」とドスを利かせつつゲーマドライバーを構える姿がどうしてこんなにも恐ろしいのか。頼れる先輩の登場シーンのはずなのに!その上、畳みかけるようにジオウとゲイツに襲い掛かるんじゃない!あんたが魔王か!

そんな彼の真意は、彼なりにアナザーエグゼイドになった人物を止めるためにあえて他者の協力を拒んでいる、という辺りもやっぱり見知った永夢のやり方だった。でもやっぱり伝える努力をしてくれ、怖いから

 

第4話はソウゴがどんな王様を目指しているのか、ゲイツツクヨミは何故オーマジオウと戦い過去へ来たのか、それぞれの"信念"を、患者を救う固い信念を持つ永夢からシフトして描くことに意味がある。譲れない信念を持つ者同士のドラマこそ『エグゼイド』の真骨頂であり、そういう意味では間違いなくエグゼイド編だ。

永夢の動く理由でありアナザーエグゼイドが人々を襲う理由が「難病の息子に適するドナーを何としても探し出すため」、それに対する永夢の提案が「息子さんのそばにいてあげてください」。『トゥルー・エンディング』と同じく患者の心も救う彼の信念通り「子の難病治療には親が近くにいて支えてあげること」がブレておらず、かなり良いポイントだ。

それを知ったソウゴも、自らがいずれ魔王になると言われながら、譲れない信念「世界を全部よくしたい、皆に笑顔でいてほしい」を貫くために王の道を行くことを改めて決意する。

患者に寄り添い救うドクターと、民に寄り添い救う王。二人の信念は交差し、ジオウはエグゼイドの歴史と永夢の信念を継承したエグゼイドアーマーを身に纏う。

整理してみるととても美しく間違いない流れだ。「王様になりたいって言ったら永夢がチベスナアイで睨む」とかいう冗談も塵になって消えるレベルで完璧であった。

 

さて次なるレジェンドライダーはフォーゼ、そして舞台は天高。監督も坂本監督が担当するとのことで、ああわかっていらっしゃると一安心。

……というだけでなく、まさかの乾巧&草加雅人も登場のファイズ編!?

まったく何がどうなるのか読めない「ファイズ&フォーゼ編」。どんなトンデモ展開やクロスオーバーにおける解釈等が飛び出してきてもいいように、心の準備だけはしておきたい。

以下いろんなこじつけ&妄想

 

 

 

 

【感想】仮面ライダージオウ 第2話「ベストマッチ2017」

詰め込みながらも結構ワクワクする作りで期待させてくれた第1話に引き続きのビルド編。今回は「物語がどういったルールで進行していくのか」を提示してくれた回だった。

 

2017年で生まれたアナザービルドが「本物の仮面ライダービルド」に取って代わり、ビルド/戦兎とクローズ/龍我は力を失う。

アナザーライダーは現代で何度倒しても復活する。完全に消滅させるには同じライダーの力を使って、同じ時代で倒すしか方法はない。それが可能なのは歴史を受け継ぎ時を支配するジオウのみ。そして倒したところで改変された歴史は変わらない。

 

TTFCの「ジオウ補完計画」によれば「同じライダーの力は同じ時間に共存できない」「アナザーライダーは同じライダーの力でしか倒せない」が明確なルールとのこと。つまりは

ということになる。

今回のビルドの一件も、アナザーライダーが誕生した瞬間から「力・存在の優先権」とでもいうべきものが変わった歴史・時間(アナザー)に向けて流れ始めたために戦兎たちが変身不能になり、『ジオウ』はそのアナザーの歴史からライダーの力を回収、結果『ジオウ』の歴史では分岐後の別物と化した『ビルド』が組み込まれた、というところか。

変わってしまった後の歴史を組み込んでしまったなら「元よりそんなことはなかった歴史」として前後が確定したのだから、確かに戦兎たちは元のライダーには戻らないだろう。そしてジオウたちがライドウォッチを所持している限り「共存できない」ルールによって力が戻ることもない。

「本物は仮面ライダー達なのに、どうしてアナザーやライドウォッチの方が優先されるの?」に関しては劇中のゲイツの言葉を借りて「歴史はオーマジオウに向かって流れている(=時間の中でジオウ関連に働く力の方が優先度が高い)」、メタ的に言えば「最強・優先されるのは現行ライダーとその設定」ということなのだろう。

 

王が接触し干渉した"間違った歴史"こそが正史となり、それぞれのライダー達が歩んできた正史が異なる歴史として消えていく。存在の証はライドウォッチという力と、王の記憶の中にしか残されない。

全てのライダーの辿った歴史が失われつつ、力だけがジオウに向かって集まっていくことを指して「ジオウの力は史上最強」と言ったのなら何も間違ってはいない。なぜなら過去の歴史に仮面ライダーはジオウ以外おらず、なのに他のライダーの力が扱えるというとんでもなく矛盾した存在になるからだ。

しかし同時に、ジオウは本来のライダーたちが歩むはずだった過酷な歴史をも結果的に奪ったために18年分の重責をたった一人で背負っていかなければならない、という負けず劣らず過酷な運命が待ち構えている。

この運命を乗り越えられる強さがあるのなら、史上最強の「孤高の時の王」として君臨するのも夢物語とは言い切れない。

 

このように、ジオウの物語はレジェンドライダーと絡み合ったストーリーでありつつ、その本筋はあくまで彼らの歴史と力を受け継いだソウゴが王になることを描くタイムトラベルSF、と捉えていいだろう。1話の感想でも記した通りに『「過去作の踏襲はしつつ、しっかりジオウの物語を紡いでいく」というスタンス』で展開されると見て間違いなさそうだ。

 

そんなジオウの物語の次のレジェンドは『エグゼイド』より宝生永夢ゥ!

※補足すると、永夢は2018年3月に研修が終わっているため、次回の時間を放送時期と合わせて9月中~下旬とするなら正式に小児科医として活動している頃なので飛彩の「小児科医に何の用だ」という台詞と一致する。

 

王様になるから受験はしない少年と、ドクターになるために猛勉強した男の出会いが恐ろしいという話に爆笑しつつ、しかし「自分が歩む未来は自分で選ぶしかない。自分で動かさない時間は動かない」というソウゴと「人が生きるということは運命を変えていく力」という信念の永夢は実のところ結構相性が良さそうな気がする。共に決められた運命に抗う者同士だし。

 

パイロット版も終わり、基本的なルールが提示され、『ジオウ』はここからいよいよ本格的に始まる。ジオウが辿るのは覇道か、王道か?

【感想】仮面ライダージオウ 第1話「キングダム2068」

クウガから始まった平成仮面ライダーも早いものでもう20作目。

前作のビルドが大変に気持ちのいい最終回を迎えたため、引き摺ることなくジオウの1話を待つことができた。

 

未来のジオウ、オーマジオウレジスタンスたちを蹂躙するシーンから始まるのはやはり否が応にもディケイド1話のアバンを思い出しつつ、けれど同じようにレジェンドライダーたちとの戦いではなかったのは「過去作の踏襲はしつつ、しっかりジオウの物語を紡いでいく」という作品そのもののスタンスを表している、と言ってしまうには些か早すぎるか。ここはもう少し話が進んでからもう一度考えてみたい部分である。

 

さてそんなアバンを乗り越え、Shuta Sueyoshi feat. ISSAというファンには嬉しいスペシャルユニットの主題歌『Over “Quartzer”』とスタイリッシュなOP映像にノックアウトされつつ始まった第1話。

 

何度か見返して見て分かったのは「物語はもう始まっている」と端々で告げられていたことだった。

主人公の常磐ソウゴの前に現れ魔王になるのを阻止しようとする少女ツクヨミ、魔王となるソウゴを抹殺しオーマジオウの消滅を図る戦士明光院ゲイツ、魔王を降臨に導く預言者ウォズ、独自に王を生み出そうとするタイムジャッカーのウール

ソウゴ以外の誰も彼もが既に「未来のジオウ」によって影響を受けており、それを中心にして動いている。彼らには1話より前から既に物語があり、重大な決断や選択をして、その行動によって何も知らないソウゴを翻弄する。

彼らの前では2018年のソウゴは世界を動かす主人公ではなく、「魔王になるのを阻止する物語」の主人公であるツクヨミのターゲットであり、「過去の魔王を抹殺する物語」の主人公であるゲイツの因縁の相手なのだ。そして彼らはソウゴを通して未来の魔王を見ているだけで、今ここにいるソウゴのことは実はほとんど考慮されていない。

 登場人物たちに翻弄されるという点だけ見れば世界の中心には関われない、あるいはほぼ存在しないに等しいモブにも近い(=物語が無い)のだが、翻弄される原因はそもそも未来のソウゴであり、未来の彼は逆に他の登場人物たちに影響を与える働きをしているため間違いなく主人公でもある

これまでの『ただのモブ』から他者と影響を与えあう『主人公』へのターニングポイントこそが、文字通り「ソウゴの物語が始まる」この第1話というわけだ

 

その転換点に当たるのが言わずもがな「変身」のシーンである。

翻弄されるだけだったソウゴが「サイテーサイアクの魔王ではなく、最高最善の魔王になってみせる」という決断をして変身することで、『ソウゴの物語』として「仮面ライダージオウ」の時が動き出す。

 

ここまでやたらめったらにくどい言い回しをしたが、何が言いたいかって結局第1話は凄くワクワクした! それに尽きる。

 

 

噛み応えのありそうな内容なので今から気になっている部分もある。一番気になっているのはこれだ。

 

 こう考えたのはウォズの台詞がきっかけだった。

ソウゴは間違いなくこの1話が初変身であり使い方など知るはずもないのになぜかご存知のはずと言い、実際ソウゴは変身できてしまう。何かおかしいと引っかかるのだ。

その後の戦闘シーンもさすが高岩さん、棒立ちの姿勢で戦いの素人っぽさを出している。と同時に戦闘中のアクションは初変身のそれにしてはしっかり決まっている攻撃と、相手の様子を窺ったり防御時の完全素人の動きとで、まるで攻撃の仕方だけは知っているかのようなどうにもチグハグな印象を受けた。

 

そこで頭に浮かんだのが周回である。

まず1周目のソウゴがいて、彼は王様になることができた。しかしそこで何かが発生し、彼の物語はもう一度「最初から」やるハメに。だが王様になった記憶と経験だけは朧気ながらに引き継ぐことができ、その状態で2周目以降が始まったのではないか。そう考えたのだ。

ならばドライバーは使えるだろう。前の周回の自分が使っていた記憶が残っているか、経験が無意識ながら身体を動かすからだ。

同様の理由で戦い方も知っているだろう。攻撃に比べて相手の様子を窺ったり防御がヘタクソなのは、アバンでのオーマジオウの「攻撃こそ最大の防御」ぶりを見れば分からなくもない。

何より「生まれた時から」という言葉の意味が説明できる。なにせ周回前の自分は王だったのだから、その物語をもう一度やり直す=生まれ直しても王になる未来は確定しているのだ。それに記憶の引継ぎが相まれば「生まれながらの王である」という言葉も出よう。

そもそもソウゴは公式のキャラ説明で『「なんか行ける気がする」と言ってはなんでもやってのける力を持つ。苦境に陥っても笑ってしまうポジティブな思考の持ち主。』と書かれているのだが、これも「これから起こることを既に経験済みで乗り越えてきたことが引き継がれているから、解決できる未来が定まっているし苦境も打破できると無意識に知って行動しているのでそう見える」と解釈することもできる。

他方「生まれた時から」に関しては洗脳・刷り込み何かの目的のために作られたなどの説も唱えられており十分可能性はあると思うのだが、この物語が「時を巡る物語」という事を考慮すると、個人的にはやはり時間が関わる周回説を推したいところである。

ソウゴの名前も「時は相互」と読むことができ、未来が過去となって現在に続く周回であればまさしく時間同士が相互に関わり合った、名は体を表す展開にもなる。

 

……などなど、まだ1話の時点だというのにこんなにも妄想をたくましくさせてくれるポテンシャルを秘めているなんて、改めて先が楽しみになって仕方がない。そのうえ歴代平成ライダーを演じた役者陣が再び登場してくれるなんて、フゥーッ! テンション上がるぅー!

 

ライダーの歴史を遡る物語の果てに、ソウゴはどんな結末を迎えるのか?

我々は彼の未来を知っている。しかしそれが全てではないし可能性は一つではない。

まだ誰も知らない「仮面ライダージオウ」の未来へ、過去の仮面ライダーを知り、今この時代に生きる我々も、共に1年の旅路に出発と行こう。

あなたは最期にどんな自分を遺したい? ドラマ「dele」が面白い

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sumaho-otoshita.jp

スマートフォン、PC、タブレットなどの普及・市場拡大によって「デジタル社会」と呼ばれることも少なくなくなった昨今。

総務省によれば日本の総世帯数に対し平成29年度(2017年)にスマートフォンの所持が確認される世帯は全体の約7割。なるほどこれは社会がデジタル化していると言えよう。

総務省|平成29年版 情報通信白書|平成29年版 情報通信白書のポイント

 

そんな中、自分のようなボンクラなオタク界隈ではデジタルデバイスに対するとある話題が時折、そして繰り返し話に上がる。

それは「もし自分が突然死などを遂げた場合、データの扱いはどうなるのか」という話である。

だいたいは「保存してあるエロ画像を家族に見られるとか最悪すぎる」などといった益体もない方に展開していって終わるのだが、今の社会では実は割と重要なことなのかもしれない。

技術の進歩と共にスマートフォンで大量のデータを保存しておくことができるようになり、我々は手の中に個人情報の城を抱え持っているようなものだ。タブレット、PCなどに移ればより多くのデータを保存し、人によっては宝の山を成していることもあるだろう。

その城は王である所有者が生きている限りは様々な対策を講じてデータを守ることができるが、一度所有権を失ってしまえばどうしようもない。そこに秘められた大量の個人情報は一気に白日の下に晒されかねないのだ。

※少し話題が逸れるが、今秋まさしくそれを題材にした映画「スマホを落としただけなのに」が公開される。

 

「もし自分に不慮の出来事があってデバイスを操作できなくなった時、なにか不都合なデータなどを削除してくれる誰かがいれば……」

今回取り上げるのはずばりその業務を請け負う二人の青年と共に依頼人の最期を追うドラマ、「dele(ディーリー)」だ。

基本設定以外は毎回違う話を描く一話完結式のため、イントロダクションとメインキャラクターさえ覚えておけばいつでも話に入っていくことができる。まだ一話も見ていないという方は、そちらについては上記の公式サイト「INTRO」「CAST」よりご確認いただきたい。

今をときめく菅田将暉山田孝之の二大カメレオン俳優の共演だけでも見る価値は十二分だ。

 

さて、今後もしかしたら登場する、あるいはすでにどこかにはあるのかもしれないデジタル遺品取扱業者を描くこのドラマは、見ていてはっきりわかるほどにその作りに一貫したテーマがある(まだ2話だけど)。

すなわち「デジタルか、アナログか」「ドライか、ウェットか」。この二つのテーマが「デジタル遺品に込められた依頼人の真意」という軸に対し常に絡み合っている。

 

菅田将暉演じる主人公の一人、真柴裕太郎は「人をほんの少しだけ優しい気持ちにできる」と言われる人の好い青年である。外に出て調査し依頼人の最期の真意を探り、せめて関連人物にだけでもそれを伝えようと提案してくるのはいつも彼だ。

一方で山田孝之演じるもう一人の主人公、坂上圭司はいつも事務所でPCと向き合い口を開けば言いたいことだけ素早く喋り切ってしまう、ややとっつきにくい青年だ。依頼人の調査を裕太郎に任せては、いつも彼に引っ張られて最期の真意を調査してしまう。

正反対の二人がコンビを組んで調査に当たる、バディものの王道だ。

 

ここで先ほどの二つのテーマを思い出していただきたい。

果たしてあなたは裕太郎と圭司、どっちがアナログ・デジタル or ドライ・ウェットに当てはまると思うだろうか?

 

恐らくは裕太郎=アナログ・ウェット圭司=デジタル・ドライといった印象を抱いたのではないだろうか。

おおよその印象として、昔ながらの人への聞き込みや歩き回っての調査=アナログなやり方は、人との触れ合いを重視するためウェットなイメージを持ちがちである。逆に、デジタルデバイスからインターネットに繋ぎ、殆ど動くことなく情報を得るやり方はなんとなくドライに思えることがないだろうか?

主人公二人にもそれが当て嵌められている。それぞれの分担を見れば自然とそういう印象を抱くようにキャラクターが造形されているのだ。

 

しかしこのドラマが面白いのは絶えず「それだけではない」とさりげなく示す点だ。

例えば第1話で、ハッキングを仕掛ける際に重要なこととして圭司は「社交性と行動力」というなんともアナログな答えを出している。

この「デジタルとアナログは一見交わらないようでいて実は不可分であり、全ては捉え方一つで変わってくる」という真のテーマこそがdeleの最大の魅力なのだ。

 

常に笑みを絶やさず誰とでも話す裕太郎は、本当は過去に何か闇を抱えているらしいことが示唆されている。恐らくそれが関係してできた彼の行動は、結果的に大切な人に伝わることなく消えかけていた真意を探り当てたかもしれない。

しかし本当に望まれているのはそんなことではなくただ削除、それだけだ。彼がやっていることは契約違反であり、もっと言えば彼個人の興味を満たすために個人情報を覗き見て勝手な解釈をしているにすぎない。

対照的に常に仏頂面の圭司だが、すでに言及したように裕太郎の勝手な行いに最後まで付き合っている辺りから人の良さは見て取れるし、必要とあればちゃんと外に出て自分でアナログな調査もする

また非情・冷酷に見える指定データの即削除だって依頼人の個人情報を守る観点からすれば満点の行動であり、ちゃんと人を思いやれる人物なのが分かるのだ。

 

一見ステレオタイプに見える主人公二人もしっかり噛み砕いていけばそれだけでないことが分かるように、依頼人の削除依頼を巡る最期の真意もまた一義的なものの見方を拒むようなものが配置されている。

例えば第1話の依頼人はゴシップジャーナリスト。削除してほしいと頼まれたフォルダには警察組織と都議の癒着について追及したデータがあった。それを二人が突き止めたため、彼は最期に「正義を為すために命を懸けたジャーナリスト」として息子の中に残った、という一つのオチがついている。

しかし本当はデータはもう一つあった。それは彼がゴシップ誌を書くために芸能人や著名人たちの行動を操作し意図的にゴシップのタネを蒔いていた、という正義の人とは言えない行いの記録だったのである。

果たして彼が本当に消したかったのは汚職の証拠か、ゴシップのタネか。彼は憧れられる父親だったのか、最低の人間だったのか

データは二つ、選ばれたのは一つ、故に真実も"一つ"だけ。どちらも知る圭司からすれば、後は解釈に委ねることしかできないというグレーな総括で話は締めくくられる。

人情話の方へ針が触れて行ってやや湿っぽい空気になったのを、最後に乾いた現実を突き付けることで少しヒリつくのを感じる、この感覚がたまらなく好きになってしまったのだ。

 

世界が一つの物事で成り立っていないように、人間も、そしてデータ一つとっても複雑で多面的なものだという一つの真実を描き出すドラマ・dele。

いつか訪れる私の最期も、あなたの最期も、誰かに様々に解釈されるのかもしれない。

だから最後に改めて問いたい。

あなたは最期に"どんな自分を遺したい"?

【感想】これが最強の「勝利の法則」!    『劇場版仮面ライダービルド Be The One』

8月初週の土曜日、今年もこの日がやってきた。

毎年恒例のスーパー戦隊&仮面ライダーの劇場版公開日だ。

 

W以降の所謂平成二期に入ってからの夏映画はテレビ本編のクライマックスの時期と被るようになるため、一期の頃の最強フォーム早お披露目ではなく劇場版限定フォームの登場を売りにしてきた。今作も勿論例に漏れず、限定フォームのクローズビルドフォームが登場する。f:id:krkarfbhkdkdwofwgdg:20180804132813j:plain

 

ラビットラビット&クローズの意匠を持つこのフォームはいかにして誕生するのか?

その期待を煽りつつ、ドラマも見逃すことはできない。

 

予告で謳われていたように本作ではビルド殲滅計画が始動し、戦兎は全国民から逃げ回らなくてはならないという絶体絶命の状況に置かれてしまう。更にはその裏でテレビ本編のラスボス、エボルトの同族であるブラッド族たちの野望も着々と進んでいる。

 

果たして戦兎は危機的状況を脱し世界を救えるのか?

 

 

※以下はネタバレとなります。十分お気を付けの上でお進みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ビルド』の劇中に登場するキメ台詞として戦兎が言う「勝利の法則は決まった!

これは単なる台詞の域を超えた意味を持っており、『ビルド』の作劇には一貫してある最強の勝利の法則が定められている。

 

それは主人公の桐生戦兎と相棒の万丈龍我の関係性である。

戦兎は龍我を正しい方へと導き、龍我はその背中を追い「仮面ライダーの何たるか」を身をもって学んでいく。

逆に戦兎が現実の前に打ちひしがれる時、彼から学んだ仮面ライダーの在り方をまっすぐに貫く龍我の言動が戦兎の背中を押す。

本編では第16、22、27、31、37、39話などで繰り返し見られた光景だ。

この互いが互いを引っ張り上げ続ける無限のエネルギーこそ勝利の法則であり、もっと身もふたもない言い方をすれば戦兎と龍我がエモい感じになれば勝ち確なのだ。

 

よって今回の劇場版ではいきなりそれを崩しにかかっている。

一緒になると最強なら分断してしまえばいい。そのために龍我はエボルトの遺伝子を持つ者ゆえに劇場版のボスである伊能賢剛に操られ、あろうことか戦兎と戦わされ、戦兎はどうしようもなく敗けてしまいハザードトリガーを奪われてしまうのだ。

 

「相棒」という勝利の法則を失った戦兎が如何にして逆襲に出るのか。それが”仮面ライダーの劇場版”としての一つ目のテーマとなる。

 

そしてベストマッチよろしく二つ目のテーマが存在する。

 

上で書いたように、劇場版ではビルド殲滅計画によって民衆に追い詰められることになってしまう戦兎。それは伊能の洗脳によるもので仮面ライダー以外防ぐことができないため、美空や紗羽さえもが戦兎を襲う。洗脳を逃れた一海と幻徳も拘束されてしまい、戦兎はほぼ孤立無援の状況に陥ってしまう。

 

誰にも頼ることができない状況の中で、国そのものから逃げなければいけない。

これは序盤の龍我の状況とまったく一緒なのだ。

かつての相棒と同じ状況に立たされ、意識せずとも彼の追体験をしていくことになる戦兎。それは龍我が戦兎の後を追い続け仮面ライダーとなったテレビ本編とまったく真逆ながら、しかしお互い相手の立場を真に体験するのは同じである。

 

龍我と同じ状況に置かれることにより導き導かれる関係を脱し、対等な状態になること。これが二つ目のテーマだ。

 

これらを念頭に置くとクライマックスは自ずと一つに絞られてくる。

すなわち対等になった二人が再開し勝利の法則を決めて野望を砕くのだ。

 

 

では実際にこの二つのテーマを持つ劇場版のドラマはどんなものだったのかと言えば、それは「桐生戦兎の美味しいところ詰め」である。

 

空っぽの所から人との絆や自分の信念などを積み上げて本物のヒーローとなった戦兎のことを否定しもう一度どん底に陥らせ、それらを再確認させて再起させる。

これ自体はテレビ本編でも割とやってきたことだが、劇場版が違うのは戦兎の関係者オールスターズが60分の間にバンバン登場することだ。

 

視聴前は一番大事な龍我との関係がクローズアップされるくらいかと思っていたのだが、いざ始まると関係があったと判明する伊能、『石動惣一の面』で接するエボルト葛城巧、果てには過去の葛城忍までもが登場し戦兎の心境に大いに関わってくる。

 

龍我を奪い「君を作るよう提案した」と語る伊能は洗脳のことについて戦兎に告げる。曰く「市民たちにとって仮面ライダーは兵器・戦争の象徴に他ならず、排除を望むのは彼らの本心なのだ」と。そして破滅の力である仮面ライダーブラッドに変身し、改めてライダーシステムの平和利用の否定によって徹底的に戦兎のアイデンティティを揺さぶり、一度は完膚なきまでに叩きのめしてトドメを刺しかける。

しかしそこでエボルトが助けに入り、あまつさえかつての石動惣一ぶった顔して戦兎とわずかながら語らうのだ。おまけに「俺の事なんか何も知らないクセに!」と激昂すれば「知ってるよ、お前以上に。お前を作ったのは俺なんだからな……」と最高にニクい台詞を吐き出す。お前本当そういうとこだぞ

エボルトと分かれた戦兎は、今度は自身の内にいる葛城巧と言葉を交わす。「エボルトを倒すためとはいえ、やはりライダーシステムなど作るべきじゃなかった」「万丈龍我は世界を滅ぼすカギなんだよ!」と否定的な巧に対して、しかし戦兎はもう別の答えを見出していた。

それが葛城忍との過去のやり取りだ。『スカイウォールの惨劇』の真っ只中で忍は戦兎(巧)に「いつかこの力で地球外生命体が地球を滅ぼそうとする。その時地球を救うカギとなるのは万丈龍我だ!」とかつて伝えていた。さらに戦兎は思い出す。

 

「父さんっ! ……父さんは何のために、科学者になったの?」

「……ラブ&ピースのためだ!」

 

1年ビルドを見続けて感性を慣らされた身として、ここで満を持してのラブ&ピース発言には興奮を通り越して快感すら覚えた。

劇場版が戦兎のドラマなら最終的にはやっぱりラブ&ピースに戻ってくるのだ。しかも今回は「その信念はどこから来たのか」に対する解答編の役目まで果たしている。

「ライダーシステムは正義のためにある」と定義しながらも、本編では今までそれが本当に正しいのか答えてくれる人物は結局おらず、実のところ戦兎が言い張っているに過ぎずに曖昧だった信念に、ついに生みの親から「その通りだ」という力強い答えが返ってきたのだ。

 

ラブ&ピースのために戦う戦兎の信念を揺るがすことは誰にもできなくなった。精神的に無敵となった戦兎はいよいよ最終決戦に臨む。

 

そして迎えるクライマックスでは、二つのテーマがついに絡み合ってくる。

戦兎だけではブラッドに勝てない。勝つために必要なカギは万丈龍我。先に書いたように龍我を取り戻した瞬間に勝利の法則が決まる。

そのために戦兎はブラッドから龍我を引き摺り出し「万丈、お前の命、貰うぞ…!」とハッキリ言葉にする。ニュアンスとしては「勝つために力を貸してくれ!」とほぼ同義であり、ここで二つ目のテーマ通り二人が対等になったことが表現されている。

そうして龍我を取り戻せば一つ目のテーマもクリアされ、さあこっちのモンだ。勝利の法則が決まった瞬間にベルナージュの力で洗脳を脱した美空と紗羽が合流し、内海のお陰で拘束から脱出できた一海と幻徳も合流する。あっという間に仲間たちみんな元通り、負ける気がしねえ!

 

全てが絡み合ったその先で、ビルドを作り上げてきたもう二人である美空&ベルナージュの力を借りて、ゴールドラビット&シルバードラゴンボトル、戦兎と龍我が文字通り「Be The One」したクローズビルドフォームが誕生する!

テーマ、ドラマ、キャラクター同士の関係性、アクション、それら構成要素全てもBe The Oneしての誕生は本当にお見事としか言いようがない。

 

ラストのVFXを多用したクローズビルドVSブラッドは映像の迫力的にもこれぞ劇場版と言えるものに仕上がっていた。クローズドラゴン・ブレイズとスタークの巨大コブラの激突シーン、金のラビットラビットアーマーを使っての大ジャンプなど、ラビラビ&クローズらしさも活きている。

そして大バトルも終盤、戦兎はもう決して揺るぐことのない信念を見せつけ、戦いに終止符を打つ。最後のライダーキック「ラブ&ピースフィニッシュ!」には二人の全てが込められていたのを確かに見届けることができた。

(変身アイテムのクローズビルド缶。随分素っ気ない名前だが、缶=canで「ビルドとクローズならできる」という言葉遊びだろうか)

 

戦いを終えた戦兎と龍我はいつものようにバカなやりとりをしながら、それでもお互いを認め合うかのように手を打ち合わせる。

パンフレットで戦兎役:犬飼氏のインタビューを読むと「今までも台本に書かれていたけどずっとやらないと決めていたことを解禁した」と書かれているが、恐らくここのことだろう。確かに二人が本当の相棒になったこの劇場版で初めてやるからこそ、真に気の置けない関係になったことが表現できていた。素晴らしい判断である。

 

 

この劇場版は「粗も多いがエモいところは絶対に外さない」と言われることもあるビルドの話作りの中で、テーマをきちんと示し、その通りに話を運び、クライマックスで積み上げてきたものを爆発させる、個人的には完璧な展開だった。

 

こうしてまた一つ大きな戦いを乗り越えた仮面ライダー。いよいよ残すはテレビ本編、エボルトとの決戦を待つのみである。

一海がグリスブリザードへ命がけの変身を果たし、動向が気になるところだ。

戦兎と龍我は破壊をもたらすだけのエボルトを倒し、ラブ&ピースを証明できるのか。

残り3話。目が離せない。

特撮オフ会に行ってきました

酷暑、猛暑が続く今年の夏。外に出れば汗をかかずにいるのは不可能な熱気の中、それでもなお自分には行く場所があった。

去る7月21日、東京は池袋西口特撮カラオケオフ会が開催された。

6月頃、ツイッターのタイムライン上に上がっていた開催のお知らせ。それを一読した後、自分は躊躇わずに参加を決定した。フォロワーの方が1人しかいない、THEボッチにも関わらず。その上参加表明には「戦兎のコスで行きます!」と意気揚々と書く始末。

そのまま開催日時まで参加者の増加推移を見守っていたのだが、最終的には30人越えの超大所帯となっていたのでついツッコミを入れずにはいられなかった。

 

そんな感じで迎えた当日。リュックの中には戦兎のコート、ビルドドライバー+ラビットタンクフルボトル、ラビットタンクスパークリング、ハザードトリガー、フルフルラビットタンクボトル、ジーニアスフルボトルといった自称戦兎フルセットを用意。

更にお楽しみ的な要素として変神バグヴァイザーⅡも用意(マキシマムマイティX、ハイパームテキ、ゴッドマキシマムら辺も持って行こうとしたが重量の関係で断念)。

コーディネートも書いた通り戦兎に合わせ、いざ池袋!

 

12時少し前にカラオケの会場に到着すると、なるほど人のいることいること。主催の方も言及していたが、特撮オフにしては結構女性も多かった(1/3はいた)のが印象的だ。

さて自分はメインルーム入って奥の方に座り、テーブルの上に先の戦兎フルセットを展開した。これは割と評判が良かった、というか「まさか一人でそんなに持ってくるやつがあるか!?」みたいな反応だった気がしないでもない。

会が始まるまでに周囲の人といくらか雑談を交わしつつ(スナイプの変身ポーズを披露したら結構ウケが良かった)、12時をちょっと過ぎたところでついに開会! 同好の士だけが集う6時間のカラオケの会が始まった!

 

以下、自分が歌った曲を思い出せる限り順番に、感想を込みで書き連ねていく。

 

1.Be The One

「戦兎の格好をして行くんだし歌わなきゃダメでしょ(使命感)。あとどうせならトップバッターもやりてえな!」

自分が最初にマイクを取って歌い出したのはこれが理由だ。

そんなわけでカラオケの開幕は不肖私めが務めさせていただいた。

最初にこの曲を持ってきたのには2つ理由がある。まずは「現行のOPで場を温める」ため、次に「後になってくるとだんだん歌うのが辛くなる曲」だから。Beverlyのハイトーンで伸びのある声は疲れてきた素人には真似できない。

色々勝手なことを考えてのトップバッター、戦兎(の格好した奴)が歌う番組の主題歌で会はスタートと相成った。

 

2.Anything Goes!

1.2トップを一人でやってしまう恥知らずの男がいた!

そういうわけで2曲目も自分が行った。

1曲目を歌っている途中で「誰が何の曲で続くかなー」と楽しみにしていたらなんと続かない。「なら仕方ねえもういっちょ歌っちゃるか!」というわけで絶対盛り上がるでしょコレな曲をチョイス。

予想通り「オーズ!オーズ!オーズ!オーズ!カモーン!」は全体で一つになれた。そして映像で流れる最終話の映司&アンクに涙する人多数。

曲でアガり映像で泣く、テンションがしっちゃかめっちゃかになるもののここで概ね場は温まり切り、いよいよ参加者が思い思いに歌い出すようになった。

 

2・5.EXCITE

歌ってはいないが「宝生永夢ゥ!」で乱入した。

あのくだりは平常時であればタイミングまでバッチリ合わせられるくらい練習したが、流石にカラオケの場では上手くテンポが合わせられずに走り気味となってしまった。

次こそ完璧に……!

 

3.Giant Step

仮面ライダーフォーゼの挿入歌。この1つ前が主題歌「Switch On!」だったのでフォーゼで続くようチョイスした。

個人的にはフォーゼの挿入歌と言えばコレ! な曲なのだけど、反応を見るに知名度はイマイチ? のようだったが、途中で参加してデュエットしてくれた方がいたので大いに助かった。

 

4.Cyclone effect

仮面ライダーWの挿入歌。自信を持って言わせてもらうが自分の十八番だ。

そんなわけで周りの反応を気にせず一人で気持ちよく歌ってフィニッシュ。おいオフ会の意味あるのかソレ。

歌い終わった後には「風都探偵」をダイマしておいた。みんな風都探偵読もう!

なおダイマしといてなんだが自分はまだ買えていない。

風都探偵 1 (1) (ビッグコミックス)

 

ここらでメインルームの予約がいっぱいでまともに曲が入れられなくなってしまったので別の部屋へ。

 

5.Supernova

前の曲がキバの挿入歌だったので引き続きこの曲を選んだ。

体力がない&喉が弱いので、既にボロカスの声しかでない状況。もう少し調子を整えてから歌えばよかったかもしれない。

 

6.果てなき希望

なのにまたレンチャンするアホ。

言わずと知れた仮面ライダー龍騎の挿入歌。ちなみに劇中では30回も流れてるとか。

 

7.EAT, KILL ALL

劇場版アマゾンズの主題歌。前の曲が「DIE SET DOWN」だったので続けての選曲。

デュエット曲だが、残念ながら小部屋の中には全部覚えてる方はいなかったのでほぼ一人で歌った。歌詞が死ぬほど物騒とPRしたのは今のところコレだけ。

できたら次のオフ会では誰かとデュエットしたい曲。

 

 

EAT, KILL ALL

EAT, KILL ALL

  • provided courtesy of iTunes

 

ここで再びメインルームへ戻る。

 

8.獣拳戦隊ゲキレンジャー

自分が入れた曲ではないが、部屋中見回してもこれを入れたという方がいないので歌ってみた。ターボレンジャーからキョウリュウジャーまでなら主題歌は行けるのが役に立った瞬間。

こうしてメインルームに戻ってきた自分。そしてここから酷い暴走が始まった。

 

9.Spinning Wheel

自分が入れた曲じゃないのに歌った曲 その1。

仮面ライダードライブの挿入歌でライダー3人が歌う曲だ。

メチャクチャ好きな曲だったのでほぼマイクを独占するようにして歌ってしまった。加えて全身でリズムを刻み続けていたので、多分相当気味の悪いものとして映っただろう。反省しなければならない。

だがハイになりきっていた自分にはお構いなしであった。

 

10.Time judged all

自分が入れた曲じゃないのに歌った曲 その2。

これまた言わずと知れたオーズの挿入歌だ。

やっぱり好きな曲を、それも誰かとデュエットできることが嬉しくてたまらず、また同じことをやらかした。ゆ、許してください……。

 

11.Time of Victory

仮面ライダーエグゼイドの挿入歌。ムテキゲーマー登場回(36話)の挿入歌で、メチャクチャカッコいいのに全体でその一回しか流されなかったせいで知名度は低い不遇の名曲である。

先に他の方からゲーマドライバーとマキシマムマイティX、ハイパームテキをお借りして、歌う前に「ハイパー大変身!」とポーズ込みのパフォーマンスをしてみた。

歌い終わった後、先の事情を説明し「エグゼイドの挿入歌はWish in the darkだけじゃないんですよ! 他の曲も聞いてね!」とこれまたダイマした。

 

仮面ライダーエグゼイド TV主題歌&挿入歌 ベストソングコレクション
 

 iTunesでも配信されてるので興味があればぜひ。全部名曲なので買って損なしです!

 

Time of Victory(EX-AID 無敵)

Time of Victory(EX-AID 無敵)

  • 仮面ライダーGIRLS
  • サウンドトラック
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 11・5.特捜戦隊デカレンジャー

歌いはしなかったが、イントロの「S.P.D スペシャル・ポリス・デカレンジャー!」から始まる口上を勝手に入れさせてもらった。覚えておいた甲斐があったものだ。

 

12.E-X-A(Exciting x Attitude)

 自分が入れた曲じゃないのに歌った曲 その3。

仮面ライダー鎧武の挿入歌だと知っている人がどれだけいただろうか。

自分も「歌いたいけどみんな知らなかったらなあ」と敬遠していた曲がなんと予約されているではないか。自分も歌いたいと勝手ぬかしたのにも関わらず、元々予約していた方の快諾により一緒に歌わせていただいた。優しさに甘えてばかりだ。

 

E-X-A (Exciting × Attitude)

E-X-A (Exciting × Attitude)

  • KAMEN RIDER GIRLS
  • J-Pop
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 13.W-B-X ~W Boiled Extreme~

男性パートで参加。この曲を誰かとデュエットできる日がくるとは…!

映像はオーズ同様最終回付近のものだが、これと言っちゃあ外せねえVSユートピアも流してくれる。

「行くよ翔太郎! 最後の……」「あぁ……最後のォ!」

「「変身!!」」

何度見ても泣く! オタクの涙腺はガバガバ。

 

13・5.JUST LIVE MORE

「ドセンノー!! ジャスィンモー!!」とか「き~んだ~んの~かじっつっ!! 今という(ヴォーイ!!)風は~(ヴォーイ!!)」など、コール的な部分は男女問わず半ば怒号と化していた。最高だね!

 

14. ~JIKU~ 未来戦隊タイムレンジャー

子供が歌えないOP」としてある意味有名な主題歌。

上げに上げっぱなしで休まる暇がなかった中で、箸休め的でありながらもカッコいいこの曲はピッタリだとチョイス。

 

15.Hands

現在放送中のウルトラマン最新作ウルトラマンR/B(ルーブ)」の主題歌。

オフ会のわずか3日前に発売されたばかりのド新曲もいいところの曲で「もしかしたら入ってないかな~」くらいの軽い気持ちで探したら本当にあった! よーし行ってまえ!と突撃。

練習なしのぶっつけ本番で聞き苦しいところがあったかもしれないが、個人的には歌えてよかった一曲だった。

 ウルトラマンR/B(ルーブ)」毎週土曜朝9時よりテレビ東京系にて絶賛放送中!

オレ色に染め上げろ! ルーブ!

 

Hands

Hands

  • provided courtesy of iTunes

 

ここらで時間が来たため全員集合の後、写真撮影が行われた。

戦兎コスプレイヤーとしては嬉しいことに、万丈のコスプレイヤーさんもいたので並んで写ることができた。戦兎コスで来てよかった!

 

その後二次会までまだ時間があるということで、追加でまだ歌うことに。

 

15・5.スーパー戦隊ヒーローゲッター2016

ジュウオウジャー」とゴーカイジャースペシャルコラボした回で流れた最新版のスーパー戦隊ヒーローゲッターを、みんなで回し歌いした。

テレビで流れた時から思っていたが「ジュウオウ ジューマン ジューランド」はもう少し何とかならなかったのだろうか。

 

16.sing my song for you ~サヨナラの向こう側まで~

「MOVIE大戦フルスロットル」の主題歌。

オフ会のシメではみんなで歌える曲を歌いたい! と練習してきた曲を、最後の最後にその場にいた10人くらいで歌うことができた。皆様のご協力に感謝感激である。

 

そして本当のトリを飾ったのはこの曲!

 

17.Be The  One (TV.size)

Be The  One に始まりBe The  One に終わる!!

イントロに合わせて「火星で発見されたパンドラボックスによって引き起こされた…」の語りを入れて準備万端。

部屋にいた全員で回し歌いし、サビに入る前は全員でジャンプ。これ以上ないくらいBe The  Oneをみんなで楽しみ、今度こそカラオケは終了となった。

 

計6時間、反省しなければならない振る舞いもあったが徹頭徹尾楽しみまくりのカラオケであった。

 

二次会はバーで様々なカクテルをいただいた。

特に人気だったのが「天国と地獄」というカクテル。何故って色がビルドカラーなのだ。皆こぞって注文し、至る所でコイツが飲まれていた。

 

次回開催は秋を予定とのことで、早速リピートする気満々だ。

たくさんの人とお会いして、みんなで楽しく歌って語って盛り上がりたいものだ。